
中小企業には、いわゆる優秀な人材は来ない。平均的なら儲けもの、やや劣るくらいが当たり前、だから育てることが重要だと言われます。
「安く仕入れて高く得る」は商売の大道、付加価値の高い会社は人材育成に熱心、これも事実でしょう。
他方、次のような考え方もあります。ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則から引用します。
「偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人々をバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。要するに、こう言ったのである。「このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、分かっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」
飛躍を導いた指導者は、次の3つの単純な真実を理解しているとします。
①「何をすべきか」ではなく「だれを選ぶか」からはじめれば、環境の変化に適応しやすくなる。
②適切な人たちがバスに乗っているのであれば、動機付けの問題や管理の問題はほぼなくなる。
③不適切な人たちばかりであれば、正しい方向が分かり、正しい方針が分かっても、偉大な企業になれない。
同書は、理念経営の重要性を説いた名著ですが、飛躍した企業の事例からフィードバックして、採用の重要さを説いた点は、興味深いものがあります。
前者の育成重視も正しく、後者の採用重視も真理でしょう。
中小企業、なかんずく社員10名未満の零細企業にあってはどうでしょうか?
この場合、採用コストも掛けられませんし、来てくれた人材から選ぶことになるでしょう。前者の「中小企業には、いわゆる優秀な人材は来ない。」仮説が正に当てはまるケースと言えます。
それでも、「適切な人をバスに乗せる」ためには、どうすればよいでしょうか?
私には、正直、分かりません。
しかし、仮説は立ててみようと思います。
仮説1「何か引っかかる場合は採用しない」
経験則からいって、問題化するケースの多くは採用時に分かっていると思います。
「忙しくて、人手が足りないから・・・」といいつつ、「ある懸念事項があるのだけれど、それが反ってよく働いて・・・」など希望的観測することで、社長が片眼、ひょっとすると両眼を閉じるケースです。
10人に満たない企業では、ある意味即戦力(=マイナスにはならない)が絶対条件です。懸念事項は、ほぼ確実に現実化しますから、やはり採用してはならないのです。
仮説2「採用基準は素直さ重視」
入社後の育成重視とすると「素直さ」が絶対条件だと思います。
経営の神様・松下幸之助も人材の要件をただ一つ挙げるとすると「素直さ」に集約されると仰っていたそうです。
ここでいう素直さは、相手の発言をありのままに受け入れることができることです。
自分の価値観で勝手な方向付けを行う人は、自分らしさの檻の中で暮らしているので、成功の第一歩である気づきの機会が失われます。
一般的な適性検査では協調性や従順性といった項目はありますが、「素直さ」はありません。やはり判定が難しいのだと思います。
高価な適正試験を行ってもレベルが合わないでしょうし、そもそも適性検査で分かるものでもないとすると、インターンシップや入社後のOJTで判断するしかないのでしょうか。
ダン・ケネディ流の「ゆっくり採用して、さっさと辞めてもらう」が正しいということなのか、袋小路に入って行きます。
今日はここまでにして、しばらく考えてみたいと思います。