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2007年11月

2007年11月22日 (木)

労働契約法案、今国会で成立の見通し

 継続審議となっていた労働契約法案ですが、11月8日に衆議院を通過し、今国会で成立の見通しとなりました。

 労働契約法案は、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応し、個別の労使関係が良好なものとなるように、労働契約の締結から終了までのルールを整備しています。

 基本的解雇類型の指針化や解雇の金銭解決制度の導入等の一歩踏み込んだ目新しいものは見送られましたが、ほぼ確立された判例をもとに、明文化されています。

 具体的には、次のような事項が定められました。
�労働契約は労使の合意により決定され、契約内容はできるだけ書面により確認すること
�使用者の安全配慮義務の明文化
�就業規則不利益変更の法理の明文化(就業規則の変更が合理的な場合はその内容が労働契約の内容となる)
�解雇権濫用法理を労働契約法へ移行すること
�有期雇用契約に関する雇い止め規制の明文化
�使用者の懲戒権の濫用禁止の明文化

前述しましたように既に確立された判例に基づく法理を法文化しただけとも言えますが、実務的には、就業規則の不利益変更など注意が必要な点もあり、次回以降、個別に検証して行きたいと思いますsmile

2007年11月20日 (火)

格差社会について取材を受けました。

CX系の報道番組から電話取材を受けました。格差社会をテーマに、ワーキングプアに焦点を当てた番組を制作するので、福岡の雇用状況を知りたいとのことでしたshock
 
最低賃金レベルの業界や構造的な不況業種についての質問が主でした。お陰様で、私共の顧問先は、経営者も30代から40代前半までの伸び盛りの企業が多く、逆に元気企業の話ばかりになって、期待はずれsign02だったかもしれませんwink

 特に建設業界の倒産件数の増加について、ある程度、予見を持って誘導したいようでしたが、旧来の官需に頼る業者ならいざしらず、民需主体の企業や官需においてもニッチ市場を押さえている会社にあっては逆に業績を伸ばしており、業種・業界による決めつけはできないとの実感があり、いくつかの成功事例についてお話しました。
 
そうは言っても、取材の趣旨が、格差社会→ワーキングプアの図式ですから、何とか絞り出して、次のような話をしましたcoldsweats02

確かに建設業界、特に土木系の企業にあっては、官需主体のため、公共事業の予算削減や一般競争入札の影響を強く受けているのは確かだと思いますが、積算基準が比較的明確にあるだけまだ良いといえるかもしれません。

大型の設備を必要とせず、人件費が主なコストの業界、例えば警備やビル管理・清掃などの業者は、さらに厳しいと思います。特に福岡県の周辺部では、官需主体の企業も多く、予算の削減の煽りを諸に受けています。

毎年、一般競争入札の洗礼を受けるわけですから、翌年があるかどうか全く予想がつかず、人に対する投資ができる環境にありません。現場で働く方々は、最低賃金レベルで働くことの引き換えに、入札で勝った会社で雇用を継続されることになりますが、つまりは完全なフロー人材の位置づけですから、教育投資等の対象とはならず、付加価値を高める機会には恵まれません。

労働集約型でその質が向上しないとなるとデフレ・スパイラルに巻き込まれるのは必至で悪循環です。この状況下では、企業は、ファミリービジネスで地域・業種等に特化するか、持たざる経営でコスト削減に徹し、広域・規模拡大で商社的な口銭商売とするか、の二者択一を迫られることになります。

易きに流れず、経営者はイノベーターとして新しい経営資源の組み合わせ(ビジネスモデル)の創造、労働者は知識・技能の向上を図ることが望まれます。逆説的ですが、労働者の再調達コストを上げることが、労使双方の利益になると思います。

「社員の戦力化にどれだけかかりますか?」の問いに、「1ヶ月ですかね。」と答えるようでは駄目なのです。 私共も機会を捉えて、人事労務管理の立場から何ができるのか?を考えて行きたいと思います。

2007年11月16日 (金)

結婚式に行ってきました�

 株式会社日新商会・代表取締役 中村勝正・光子ご夫妻の二男・仁さんの結婚式に出席しました。

 新郎の仁さんは、九工大知能情報の出身で、同社のシステム管理を担当されており、新婦の時子さんもプログラマーとして活躍されています。

 コンピューターつながりとはお聞きしていたのですが、新婦は深紅のドレスがよく似合って、仁さん、本当におめでとうございます。ちょっと古いですが、「GETS!」って感じでしょうかsmile

 中村社長ご夫妻には、公私にわたり大変お世話になっております。開業間もなくオーナー企業の労務管理に不慣れな私に、「オーナーとは?」「オーナーの下で働く人の機微」を教えていただきました。改めてお礼申し上げます。

 同社の労務管理には、成長する中小企業のエッセンスが沢山あるのですが、残念ながら守秘義務がありますので申し上げることはできません。現在の私の労務管理に関する考え方を確立するにあたり洞察力に富んだヒントをいただいたのは間違いありません。
 
 末筆ながら、仁さん・時子さん、いつまでもお幸せにbellheart


株式会社日新商会のホームページはこちらから
http://www.hrs19a.net/nisco/index.htm

2007年11月 1日 (木)

「その解雇、5百万円也!?」 その5

訴訟が進む中で、賃金不払いの提訴が行われることも多いようです。いわゆる「不払い残業」のことですが、労務管理の脇のあまい中小企業では大きな痛手となるケースもあります。

月給25万円の社員の残業時間単価は、約1,800円です。1日1時間の不払いがあったとして、月の所定出勤日数が22日とすると、月約4万円になります。賃金債権の時効は2年ですから、最大約100万円の支出を迫られる可能性があります。

不払い残業是正指導についてはこちらから
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1002-1.html

関連記事はこちらから
http://mainichi.jp/select/biz/news/20071010k0000m020181000c.html

 敗訴しますと、相手方の訴訟費用を負担coldsweats02させられることもありますし、控訴でもすれば、弁護士費用も更に掛かることにおなります。

訴訟費用が被告負担となった事例はこちらから
http://www.miraikan.go.jp/hourei/case_detail.php?id=20060514144826
 
 解雇の負の経済効果を検証してきましたが、500万円という額が高い数値でないことは、十分に理解いただけると思います。

 経営者は、解雇を恐れる必要はないと思います。企業の発展・存続がないと労働条件も何もないわけですから、それを阻害する問題社員の存在は看過できません。

 解雇のリスクを十分理解したうえで、会社や社員を守るために、必要な手順は順守されなければなりません。「覆水盆に返らず」です。転ばぬ先の杖、くれぐれもご注意ください。

「その解雇、5百万円也!?」 その4

本訴では、賃金の他に不当解雇を受けた精神的な苦痛として慰謝料を求められます。事情によって異なりますが、200万円〜400万円sign01の請求になると思います。実際に認められるのは、20万円〜50万円とは思いますが、弁護士費用は、訴額と経済的利益を評価して決められますから、追加費用が発生してくることも十分考えられます。

不当解雇で慰謝料等200万円の支払いが認められたケースはこちらから 
http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20071005ddlk19040311000c.html

パート社員解雇無効で慰謝料50万円の事例はこちらから
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hanrei/200404512.html


 裁判が進行していきますと、社長をはじめ、事情を知っている社員の証人尋問も避けて通れませんsad。その日、仕事を休むことになるだけでなく、弁護士との打ち合わせ等もありますから、失われる人件費も馬鹿になりません。

訴訟に至るまでに、監督署や団体交渉の対応で、社長や担当者は、既にかなりの労力を費やしていますから、解決までの機会損失を人件費換算すると100万円の単位にはなるのではないでしょうか。(つづく)

「その解雇、5百万円也!?」 その3

 団体交渉に対して不誠実な対応だと判断すると組合の支援を受けた社員は、法廷闘争に訴えて来ます。

 まず、訴訟告知とともに、「地位保全および賃金支払いの仮処分」を申請してきます。ここに及ぶと会社は対応が不可能となりますので、弁護士に依頼することになります。着手金と諸掛りで40万〜50万円前後の支出shockになります。

弁護士報酬に関してはこちらから
http://www.nichibenren.or.jp/ja/attorneys_fee/data/guide.pdf


 一般に、地位保全、つまり職場に復帰させるという仮処分は認められるケースは少ないと思いますが、賃金支払いの仮処分は認められるケースが多いと思います。「明日から来なくていいぞ!」のケースでは、解雇にいたる適切なプロセスを踏んでいないため、犯罪的は非行でもない限りは、会社にとっては難しいと思いますsad

 賃金支払いの仮処分が認められますと、通常支払われる賃金(月給者なら月給、日給者・時給者なら平均賃金の1カ月分相当)を支払続けながら、本訴を戦うことになります。労働裁判の第一審の判決が出るまでに、1年〜1年6か月くらい掛かりますから、月給25万円の平均的な社員でも300万円sign01を超える支出になります。勝訴すれば帰ってくるとはいうものの、完全勝利は考えられませんから、一度出したお金を取り戻すのは至難ですcoldsweats02

地位保全の仮処分を認めたケースはこちらから
http://www.jil.go.jp/mm/hanrei/20030214c.html

「その解雇、5百万円也!?」その2

 解雇トラブルで発生する「負」の経済効果について、少々、検討してみましょう。

 まず、社員の側の打ち手としては、労働基準局等への申し立てが考えられます。この段階で早期解決が図れると、ダメージは最小限に留めることができますが、会社が対応を誤ると訴訟に発展するケースも少なくありません。

 訴訟費用が掛かるので訴えたりはしないだろうと高を括るのは大間違いです。解雇トラブルの解決を求める社員には、労働組合という味方があります。数千円の組合費で闘争のサポート受けられるのです。訴訟となれば別に費用は掛かりますが、会社から回収したお金で払えばいいのですから、初期費用は余り掛りません。

 組合に加入した社員は、団体交渉を求めてきますが、会社にとっては、これが2回目のチャンスです。ここで解決できれば、お金は余りかかりません。最近の労働組合は、無茶な要求はしませんし、問題社員を教育もしてくれますから、事実関係をしっかり主張して妥協点を見出すべきでしょう。(つづく)

「その解雇、5百万円也!?」 その1

「明日から来なくていいぞ!」。中小企業の社長なら、一度は口にされた言葉ではないでしょうか?絶対的な人事権のあるオーナー社長のこの言葉は、「解雇通知」と看做されます。

 特定社労士の仕事をしていますと、ひとしきり揉めた後で、ご相談に与るケースが多いのですが、後処理は大変、辛いものになりますshock

 ご承知のことと思いますが、解雇は使用者の一方的な意思表示による雇用契約の解消ですから、「解雇権濫用法理」により厳しく制限されています。

 従来、判例法理とされていた「解雇権濫用法理」が改正労基法(平成16年1月1日施行)では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明定されました。

 第三者的に判断して、解雇トラブルは、社員に何らかの非があります。いわゆる「問題社員」に堪忍袋の緒が切れたパターンが多く、社長としては耐えに耐えた挙句、「まだ、分らんのか?もういいでしょう!」と爆発するわけですが、葵の印籠と違って、解雇という伝家の宝刀には、手順が重要になります。(つづく)


解雇権濫用法理についてはこちらから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E9%9B%87

改正労基法の概要はこちらから
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/11/dl/tp1111-1a.pdf