改正労働基準法③割増賃金率の引き上げ
今回の労基法改正で、いわゆる残業時間を抑制するため、時間外の多少により、割増賃金率が引き上げられました。
左図のように三段階で割増賃金率は設定されます。
①1ヶ月の時間外労働が45時間以内
従前同様、2割五分増しとなっています。1ヶ月45時間は、労働省告示の限度時間となっていますから、限度内であればよしとする方向なのでしょう。
45時間は労働日当たり2時間以内の時間外労働にあたり、通勤時間を含めて労働に係わる時間と洗面・入浴等
を含めた必要な家事時間を想定しても余暇が持てる、つまりはワークライフバランスを維持できる水準とされています。
また、過労死(心臓疾患・脳血管疾患)が、毎日2時間を超える時間外労働を行うと発症率が高くなることから、過労死基準ともなっています。
②1ヶ月の時間外労働が45時間超~60時間以内
労使協議により25%+αの割増率を定めることになります。
詰まるところ、協議を行った結果、+α部分が「0」ということも考えられます。
昨今の経済状況を考えますと、なし崩し的に変化の無い方向に動くことになりそうです。
45時間超の時間外労働は、特別条項付きの労使協定が前提となりますから、「改正労働基準法②特別条項付き三六協定の限度基準改定」で検討したとおり割増率を含めた協定が必要となります。
③1ヶ月の時間外労働が60時間超
5割増しとなります。但し、今回積み増された2割5分部分については、現金で支給せず、代替休暇により精算することが可能となります。
代替休暇制度の適用には、労使協定の締結と就業規則の変更が必須となります。
代替休暇についての注意事項は次のとおりです。
(1)代替休暇として与えられる時間の算出法は次式の通りです。
代替休暇対象時間=(1ヶ月の時間外労働時間-60)×換算率
※換算率=代替休暇を与えない場合の割増率-代替休暇を与える場合の割増率
(2)代替休暇の単位は、一日または半日とされています。
(3)代替休暇は、60時間超となった当該1ヶ月の末日の翌日から2ヶ月以内に取得しなければなりません。
代替休暇が少なくとも半日単位でないと付与できないので、1日所定8時間、換算率を25%とすると60時間超の部分が少なくとも16時間(つまりは時間外が76時間超)でないと付与できないことになります。一日付与するには倍の32時間(時間外92時間超)が必要で立派な過労死水準です。
ワークライフバランスを考え、実際に労働時間を削減したいのなら、代替休暇の取得方法を、もっと現実的なレベルに改める必要があるでしょう。
「改正労働基準法①改正の趣旨」で指摘しましたように、当面の間、中小企業には適用が猶予されます。
試行から3年以内の見直しが改正の前提となっていますので、当面の間とはその期間と同じと思っていいでしょうから、この期間のうちに賃金や働き方の仕組みを変更していく必要があります。
振り返ってみると「アッと言う間の三年」とならないよう準備していくことが肝要です。































