今年6月の中央最低賃金審議会の目安では、「現下の経済・企業・雇用動向等を踏まえ、今年度については、現行水準の維持を基本として引き上げ額の目安を示さないことが適当である」とされ、据え置きが予想されていました。
最低賃金は時間給で表しますが、全国の移動平均で10円アップ、福岡県で5円アップ、九州他県では1円~3円アップの水準で定まりました。
最低賃金法改正までは、中央に右に倣えの傾向が強かったのですが、若干のアップにしろ各都道府県で改定が行われたことは、地方最低賃金審議会の独自の判断が働いたことを評価すべきなのかもしれません。
福岡県の答申は、8月19日に行われていますから、民主党大勝の影響とは言えませんが、それを織り込んだものであったことは否定できないでしょう。
民主党マニフェスト2009「5雇用と経済を育てる政策」には、「時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指す」とあります。
政策目的として「まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。」を掲げ、次のステップで具体化するとのことで、2200億円程度の予算を見込んでいます。
○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。
○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。
○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
さすがに社民党と違い、「中小企業を支援し」という言葉が付きますが、マニフェストが4年間以内に達成される政権公約だとすると、全国最低賃金800円を達成するためには、福岡県で120円(17.6%)、その他の九州エリアでは約170円(27.0%)のアップが必要です。
4年間の平均で、30円(4,4%)~42.5円(6.7%)のアップとなり、中小企業に支援するとしても、2200億円程度の予算で可能か甚だ疑問です。
確かに、最低賃金800円としてフルタイムで働いても、月額14万円に及ばず、労働市場の実質最低賃金である高卒初任給を下回ります。
賃金水準としては達成すべき水準であり、雇用のセーフティネットの確立も急務ですが、中小企業や個人
事業主に負担を強いるのは無理があります。
連立政権を組もうとしている社民党のマニフェストには、有期雇用契約の禁止というものがありますが、無茶苦茶な話で、セーフティネットの先には「契約自由」があるべきで、解雇権濫用法理の見直しが少なくとも必要ではないでしょうか。
今回の選挙では、郵政民営化や派遣法も見直し、元に戻せば以前抱えていた問題がなくなるわけではりません。
違う方法で改革を行わなければならないのに、この国は革新が元に戻すという憲法問題以来の性癖があり、折角の政権交代が失われた○○年の始まりにならないように願っています。