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組織行動論 Feed

2011年11月10日 (木)

デシ教授の「内発的動機づけ」

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ロチェスター大学のエドワード・デシ教授は、1975年に「内発的動機づけ」を提唱し、「外発的報酬は内発的な動機づけを低下させる」としてセンセーションを巻き起こしました。

「ご褒美をやるとモチベーションが下がる」というわけですから、内発的動機の重要性が一般に認識されている現代でも違和感がある向きもあると思いますので、当時としては大変なことだったと思います。

デシ教授はパズル実験により証拠立てます。

実験の方法は次の通りです。

①パズルは大学生にとって十分に面白いもので、実験前からそのパズルを知っており、自主的に楽しんでいました。
②学生のグループを二つに分け、ひとつのグループには一つパズルが解けると1ドル支払うと約束し、もう一方のグループには何も約束しませんでした。
③実験室に大学生を一人だけ入れパズルを解かせます。
④制限時間13分のパズルを4個解かせる1時間のセッションを3回行わせます。
⑤2回目と3回目のセッションの間に自由時間を8分間設け、最新の雑誌や灰皿が用意され、外出する以外は自由に振舞ってよいとして、経過を観察しました。

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報酬を約束されていないグループには、特に変化がなく、自由時間も関係なく、パズルに興じていました。パズル解くこと自体が動機づけとなる「内発的動機づけ」の状態といえるでしょう。

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ところが、報酬をもらうようになった学生のほとんどが、8分間の自由時間にパズルを楽しむことなく、雑誌を読むなど、他のことをしはじめたというのです。

つまり、金銭報酬という外発的動機が、内発的動機づけの状態を壊したといえるでしょう。

内発的動機づけとは、あくまでそれ自体が楽しみが動機の源泉となって、それを通じた自己の有能さや自己決定の感覚が得られるときにモチベーションが強まる性質があります。

金銭的報酬を第一義とする経済学的モチベーションとは対局をなすものですが、ベテランの営業マンや職人さんの中には、「金じゃないんだ」の気質は残っていますし、日本の古典的な職業観に合致するところも多いと思います。

デシ教授の指摘は、人事制度を考える場合に重要な示唆を与えると思います。

2011年11月 9日 (水)

期待理論

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ヴィクター・ヴルームが提唱した「期待理論」は、人がどのような心理的プロセスで動機づけられ、行動の選択とその持続がなされるのかというメカニズムを理論化し、動機付けは、職務遂行の努力が何らかの個人的報酬に繋がるであろうという期待と、その報酬に対して人が持つ主観的価値の二つの要因で決まるとしています。

個人が報酬に高い価値を認め、努力すれば報酬が得られると感じる期待が高ければ高いほど、人はより一層努力すると考えました。

ここで報酬というのは、金銭だけではなく当人が主観的に報酬と思うものすべてを指します。

「期待理論」の特徴は、極めて合理的なソロバンずくの損得勘定が行動を決めとするところで、中小企業の社長にとっても実感をともなって容易に理解できやすいと思います。

理論を意識するしないに関わらず「ニンジン作戦」として、人事・報酬制度に広く応用されています。

私の印象では、報酬、特に金銭報酬を引き上げることで、モチベーションアップに結びつけようとするケースが多いと思います。

例えば、一担当者を役付にし、いきなり役職手当10万円の課長にしたら頑張るだろうといった短絡的なケースです。

ご相談に来られる社長のかなりの方がこのパターンなので笑えません。

あまり賛成できないと伝えると、「20万円にしますか?」、「ボーナスつけましょう」となったりするので、なお笑えません。

報酬(この場合は地位と金銭)を、闇雲に挙げることで期待は下がってしまいます。

つまりは成功確率が低ければ期待が下がり、報酬の上昇を帳消しにするどころか無に帰します。

かけ算の怖いところです。

このタイプの社長の部下で、役職者として成功した社員は皆無といっていいと思います。

それは社長自身が金銭に強く動機づけられることの裏返しに強烈な要求を部下に突きつけることになるからです。

モチベーションのダークサイドとも言えますが、なかなかご本人は気づかないものです。

担当者として成功しても、役職者として失敗し、失格者の烙印を押されハシゴを外され退職した前任者の山を見ていますから、社員は合理的な選択として誰も上を目指しません。

社長は、「内の社員はモチベーションが低い。もっとニンジンを」の悪循環にはまっていきます。

期待を上げるには、育成や安心の仕組みが必要なのです。

期待と報酬のバランス、このあたりが人事制度がお役に立てる領域だと思っております。

2009年11月24日 (火)

H.ミンツバーグ経営論に出会う

Img_0239 「離せば分かる」四十代も深まると、活字が疎ましくなってきました。

仕事で必要に迫られないと本を読まない傾向があり、特に長編といいますかガッツり分厚い書物に取り組むのは正直、億劫です。

Febe!のオーディオブックは重宝しています。

最初の動機は、ドラッカーを読み直したいと思ったことです。片道45分、往復1時間半の通勤時間を活かしたいから、できれば朗読版をと思って探していたところ、Febe!に辿り着きました。

早速、まとめ買いパックでドラッカー経営論全35章を購入し、通勤途上や散歩中に聴きました。iPod(私の場合はiPhoneですが)で大丈夫なので重宝します。

ドラッカーは、予言者のように50年前からメガトレンドを示し、その論理性や志の高さから、やはり経営論の王道といえるでしょう。

ただ、中小企業経営、特にその各論において、我々はどうすればいいの?と言わざるを得ない面もあるよううな気がします。遠き「坂の上の雲」とでもいいましょうか。

同じくFebe!で、H.ミンツバーグ経営論に出会いました。

賃金制度の世界でいうと、楠田丘弥富賢之の違いといいますか、H.ミンツバーグには極めて実践的な経営論を感じました。

特にマネジャーについては、ファヨールの古典的な定義(マネージャーは計画し、組織し、指揮し、調整し、統制する)を出発点とする経営論を批判し、現場に実在するマネジャーの行動理解から、実に示唆に富む理論を展開しています。

H.ミンツバーグは、アメリカ型のいわゆるグローバルスタンダード、アングロサクソン経営にも懐疑的で、MBAに至ってはマネジャー教育としては全否定といってもよいでしょう。

異端異能の人物といえるでしょうが、私のようなウルフマンには強く共鳴するマネジメント・グルと言えるでしょう。

ドラッカーとミンツバーグ、現実マネジメントのピンボールの中で、揉まれながら自分なりの思想を練っていきたいと思っています。

2009年4月 2日 (木)

リーダーシップ再考

Img_0343s パソコンを換えたたところ、ブログとの相性が悪く、画像が更新できずにおりました。

十日も経つと一昔前のような昨今ですが、WBCについて少々書きたいと思います。

日本中、大変な盛り上がりでしたが、試合がウィークデイの昼間にあったこともあり、携帯電話のワンセグ機能の有り難さを思い出したのは、私だけではないと思います。

今回のWBCで一番印象に残ったのは、原辰徳監督の采配です。作戦面では、いろいろなご意見、ご批判はあろうかと思いますが、リーダーシップとは何か?という視点で考えてみたいと思います。

思えば、原監督ほど、その実績が過小評価されている野球人もいないかもしれません。甲子園、神宮のヒーローとして若大将と呼ばれ、ジャイアンツに入団してからも4番サードで活躍、実働15年で通算1675安打、382本塁打、1093打点の成績を残しました。監督としても実働5年でリーグ優勝3回、日本一1回の実績を誇ります。

黄金時代のライオンズと落ち目のジャイアンツの対比の中で、負けチームの四番打者のイメージを引きずってしまった感がありますが、チームの旗印として戦いに臨む厳しさを誰よりも知っているのが原監督かもしれません。

長嶋JAPAN、王JAPAN、星野JAPANときて、サムライJAPAN。「大物の時代が終わって小物の時代になったから」などと皮肉に言うひともありますが、空母の時代に大艦巨砲主義に拘った守旧派のようなものでしょう。

野村監督は、今回の代表監督の課題として、「イチローにいかに気分よくプレーさせるか?」を挙げておられました。

それは、いかに侍大将=リーダーの活躍を引き出すか?と言うことかもしれませんが、野村監督も評価されたように、それはうまく行ったようです。

それどころか、もう一歩先のリーダーシップの世界に導いたと思います。

それは、次のイチロー選手の談話に表れていると思います。

 「(必要とするチームとしての共通認識は)向上心です。チームには強いリーダーが必要という安易な発想があるようですが、今回のチームにはまったく必要がなかった。外からはリーダーのように言われたが、全くそんなことはなかった。それぞれが強い向上心を持っていれば、必要ない。むしろ、そんなものはない方がいい思いました。」

原監督と野村監督の年齢差24歳、リーダーシップ像にはかなりの違いがあるように感じます。それは指揮する選手の気質や技術レベルの差でもありますから、現代日本の野球はそれほど高いレベルにあるのでしょう。

今後、組織は、そのレベルの違いこそあれ、自律性多様性(ダイバーシティ)がキーワードになると思います。

ラグビー日本代表の元監督・平尾誠二氏が、理想のチーム状態を「一糸乱れぬアドリブ」と表現されたことがありますが、相通じるものがあると思います。

28年前、私は、開幕第二戦の後楽園、ライトスタンドに居ました。新人の原選手が中日ドラゴンズの小松投手から放った打球は満員のライトスタンドへ。逆転アーチとともに新しいスーパースターの誕生に熱狂したものでした。

やはり原は凄かったsign03

何はともあれおめでとうございます。

2008年10月17日 (金)

時間管理のマトリックス

ビジネスリファインの岩波さんから久々にメールをいただきました。同社では、コヴィー博士の七つの習慣の公開講座を開催されるとのことでした。

七つの習慣は、独立開業に当たって座右の書にしておりましたし、10年目を迎えるにあたり、もう一度噛みしめる必要を感じました。

やはり縁は異なものだと思いました。新人研修の冒頭でも話したのですが、少しまとめておきたいと思います。

縦軸に重要度、横軸に緊急性をとると上図のような4つの領域が表れます。

第一の領域は、重要かつ緊急ですから、ここに集中することが好ましいように思いますが、そうは簡単に行きません。急げない長期的な視野で取り組まざるを得ない課題に対処しないため、緊急課題が尽きることなくストレスが溜まり、燃尽き症候群の恐れすらあります。
独立してピンチに立ったとき、この状態だったような気がします。

第三の領域は、緊急だが重要でない領域です。仕事をしていると思いこんでいる人は専らこの領域ではないでしょうかsign02私自身も心当たりがあるのですが、適度に忙しくて言い訳もあり、ある意味、自分を誤魔化してしまう領域でもあり、要注意です。

第4領域は、緊急でも重要でもない領域ですから、最も忌むべきですが、はまりやすい罠でもあります。時間を浪費し、自分自身を空費してしまうのですが、竜宮城に似て玉手箱が空くまで何も気づかない怖さがあります。

第二領域は、緊急でない=急げないが重要な領域であり、経営者の領域といえると思います。長期的に解決すべき課題に取り組むことで、将来発生する緊急な課題がなくなり、本質的な問題に取り組めるようになります。
P・F・ドラッカーは「大きな成果を出す人は、問題に集中しているのではなく、機会に集中している。」と指摘していますが、正にその領域に達することが可能になるのです。          

新たなメンバーを迎え、創業10年へ向かう今、今一度、第二領域への集中を肝に銘じたいと思います。

2008年10月 5日 (日)

状況変化に対応したリーダーシップ理論

以前触れました三隅二不二のPM理論や R.R.Blake とJ.S.Moutonによって提唱されたマネジリアル・グリッドでは、仕事(業績)と組織(人)の二要素からリーダーシップ論が展開されました。

PM理論では、いわゆる「PM型」で仕事にも組織維持にも関心の強いリーダーが、最も良いとされましたが、これは当然のことといえると思います。

他方、状況が変われば、必要とされるマネジメント・スタイルも変わると考えるのが必然です。この状況の変化によるマネジメント・スタイルを、部下の成熟度の視点から分析したのが、P.HerseyとK.H.Blanchardで、二人の理論は、SL理論(Situational Leadership Theory)と呼ばれます。

この理論では、効果的なマネジメント・スタイルは、部下の成熟度(能力×意欲)によって決まるとしています。

二人は、部下の成熟度を次の四つの段階に分類しました。
状況� 能力も意欲もない低いレベル
状況� 能力は低いが意欲のある普通のレベル
状況� 能力は高いが意欲のない普通のレベル
状況� 能力も意欲も十分ある高いレベル

他方、リーダーシップスタイルは、指示的行動協労的行動に分類しました。
指示的行動とは、目標達成のために部下に細かく指示や命令を出す仕事重視の行動で、PM理論のPに当たる行動です。
協労的行動とは、部下とのコミュニケーションを重視したり、職場の雰囲気を良くするための気配りなど人間関係重視の行動で、PM理論のMに当たる行動です。

指示的行動と協労的行動を組み合わせると、上図のように4つのリーダーシップスタイルが出来上がります。

�指示的リーダーシップ
→細部にわたって指示・命令する完全なリーダー主導型
�説得的リーダーシップ→指示的行動も協労行動も強い不完全なリーダー主導型
�参加型リーダーシップ
→協労行動の割合が高く、指示的行動が少ない不完全な部下主導型)
�委任的リーダーシップ
→指示的行動も協労行動のどちらも弱い完全な部下主導型

そして、状況�には�指示的リーダーシップ、状況�には�説得的リーダーシップ、状況�参加型リーダーシップ、状況�には�委任的リーダーシップが、それぞれに最適と結論付けています。

状況�から状況�に進む際に、意欲が低下するのには、少々違和感があるかも知れませんが、二人は、責任の高まりや経験不足による不安が一時的に部下のモチベーションを削ぐshock指摘しています。このことは、皆さんにも心当たりのあることではないでしょうか。

さて、皆さん(又は皆さんの組織)は、どの状況にあるでしょうか?

2008年9月26日 (金)

三隅二不二のPM理論


三隅二不二(みすみじゅうじ)氏は、日本のグループダイナミクス(集団力学)の第一人者として知られています。

氏によると、集団には、目標達成機能集団維持機能の二つの働きがあるとします。

前者をPerformanceの頭文字をとってP機能、後者をMaintenanceの頭文字をとってM機能と呼びます。

P機能はグループの目標達成のためにリーダーが仕事上の指示や指導をすること、M機能はリーダーが職場内の人間関係をよくするために配慮することを意味しています。

実際のリーダーは、P機能だけでもないし、M機能だけでもない、強弱はあっても両方の機能を果たしている指摘します。強弱の違いで2つの機能を組み合わせますと、上図のような4つのリーダーシップスタイルが区分されます。

大文字はその機能が強いこと、小文字はその機能が弱いことを表します。

1.pM型  
このタイプのリーダーは人間関係重視で、厳しいことを言って雰囲気を悪くするより、和気藹々と仕事をすることを優先しますsmile

2.PM型このタイプのリーダーは目標達成のために厳しく指導するだけでなく、メンバーに対する思いやりを欠かさず最もバランスがとれていますsmile

3.pm型
このタイプのリーダーは目標達成に意欲が無く、人間関係にも注意をはらわない無気力型とも無責任型ともいえますcoldsweats02

4.Pm型このタイプのリーダーは営業数字など目標達成には熱心で厳しい指導もいといません。いわゆる「俺に付いてこい型」で、グループのメンバーに配慮を示しませんshock

同氏は、「生産性や部下の満足度」と「4つのリーダーシップスタイルの効果」との関係を調べる実験を行った後に、生産性・部下の満足度が高いのは、PM型として、最も望ましいリーダー像との結論を導き出しています。

実験する前から当たり前の結論のような気もしますが、実際には、その組織が置かれている環境や構成員、経緯などから様々に変わるとも考えられます。

2008年9月21日 (日)

野中郁次郎の連続的イノベーションを生み出す源

















野中幾次郎氏は、日本の経営学の第一人者であり、知識経営論の生みの親として知られています。その著書「知識創造企業」は英訳され、その理論は広く世界に知られています。

最も知識が重要な経営資源となる知識社会において、企業が存続するためには、知識を創造し、イノベーションを続け、顧客・市場等の外部環境に働きかけることが求められます。では、如何にすれば、連続的な知的イノベーションを生み出せるのでしょうか?

同氏は、当時、飛躍的に生産性を改善させ勃興した日本企業の組織研究を通じ、「暗黙知重視の思想をその特徴として指摘します。

ここで、暗黙知とは「信念や価値観、経験や勘に裏打ちされた知識など言語で表現することが困難な知識」とします。

他方、欧米の企業においては、形式知が重視されており、ここで形式知とは「論理的な文章、技術仕様書やマニュアル等のように言語により表現された知識」とします。

形式知は、知識を共有化し、イノベーションへ繋げる大きな要素であり、必須のものとしながらも、膨大なマニュアルに見られるように行き過ぎた具体化(または抽象化)等の問題もあり、それだけでは知的イノベーションを活性化できないと指摘しました。

そのうえで、暗黙知と形式知を結び付け、共同化→表出化→連結化→内面化→の4つのプロセスを繰り返すことが真の知識創造に繋がり、連続的なイノベーションを生み出すと指摘しています。

バーナードは、その組織の存立要件を「目的」と「効率」が外部環境と均衡することに求めましたが、同氏は「連続的な知的イノベーション」としたのです。

日本的な経営の強みとされてきた「場の共有」に基づく「暗黙知」重視の経営も、個人主義のライフスタイルやマニュアル世代の台頭により今は昔の感があります。もう一度、企業の文化や知的創造プロセスについて、考え直す時期が来ていると感じます。

2008年9月11日 (木)

バーナード「組織を存続させ維持するには?」


前回、バーナード「組織の成立要件」で企業等の組織の成り立ちについて考えました。今回は、その後の問題です。すべての組織はその目的を達するため、一定の期間存続しなければなりませんし、企業=Going Concernは存続こそが命ですから、その成り立ちよりもその後が大切なことは言うまでもありません。

まずは「内部均衡」の達成です。組織の成立要件である�共通の目標�貢献意欲�コミュニケーションが、その成立後も機能し続けていることを意味します。これは組織が「高効率」であり、目標達成のために必要とされる貢献が構成員(企業では社員)とって最小限となっており「貢献≦誘因」が現実化した状況です。

この場合の貢献とは、社員からみれば「労働の提供」となりますし、「誘因」は「共通の目標」を上回る「ご褒美」といえます。

共通の目的にはさまざまなものがありますが、企業は第一に営利が目的であり、社員にとっては「生活の糧の獲得」と置き換えられると思いますが、共通の目的のひとつであることは間違いありません。

ご褒美が金銭だけでないことは言うまでもありませんが、分かりやすく例示として金銭を使いますと、ご褒美である金銭報酬は、共通の目的である「生活の糧」を上回るレベルの報酬でないといけないことになります。目的の達成だけでは存続はないのです。これが「発展のない存続はない」といわれるゆえんでしょうか。

次に「外部均衡」です。企業の本質は、経営資源を活用し�外部環境に働きかけ、�利益・キャッシュフローを最大化し、�顧客を創造することですから、こちらの方が重要と言えるかもしれません。

先ずは、組織の共通目的が、市場だけでなく、広く社会に受け入れられるものか?ということが大前提となります。たとえば麻薬の売買は、営利目的としては効率が良いでしょうが、社会悪、犯罪として決して容認されません。社会全体の福利に貢献しなければならないのです。

目的が容認されたならば、次に、その組織の持つ機能、効率が他の組織に勝るものか?が問われます。組織の存続は「比較優位」の有無に依存しているのです。

バーナードの組織に関する考察は、人事・労務管理を考えるうえで示唆に富んでおり、今後も実際のケースを検討する中で、ブログでも振り返ることも多いと思います。


2008年9月 9日 (火)

バーナード「組織の成立要件」

経営学(経営組織論、経営管理論)の古典であるチェスター・I・バーナード(Chester I. Barnard)の『経営者の役割』(The Functions of the Executive)が発表されたのは1938年といいますから、ちょうど70年前になります。その理論は、今も色褪せることなく、示唆に富んでいます。

その理論の特徴は、人間を「自由な意思を持って自由に行動する存在」と捉えたところでしょう。それまでの経営学では、人を生産に必要な機械や道具と同じように位置づけ、「命令に従って行動する存在」として考えていたことを考えると当時は極めてユニークな説だったと思います。


では、バーナードの組織論によれば、どのようなときに組織が成立といっているのでしょうか?人は其々に自由意思=目的を持って自由に行動するのですが、能力の限界があるため、その目標を一足跳びに到達することはできません。また、目標によっては、とても一人では達成できないものもあり、特に現代社会では、その傾向が強いといえます。

そこで組織の出番となるのですが、ここでも人は「自由な意思を持って自由に行動する存在」ですから、組織への参加も同様に、自由な意思決定とその実行と捉えていきます。




バーナードは、組織の成立要件として、次の三つを挙げています。





1.共通の目的
まず、組織に参加するかしないかの判断基準として、組織が有する「共通の目的」と自分の目的が合致するかどうかがカギとなります。目的が明確でないと参加・不参加の判断ができませんし、参加したとしても自分がどのようなかたちで組織に貢献できるのかも分かりません。組織には「旗印」が重要で、戦国時代では徳川家康の「厭離穢土欣求浄土」とか、現代企業では経営理念などがそれに当たります。

2.貢献意欲(協働意志)組織のメンバーは、参加した組織に対して貢献する意欲を持っていなければなりません。その組織を通じて「共通の目的」や「自分の目的」を達成しようという意欲と言い換えてもいいでしょう。当然、メンバーの意欲のレベルは様々ですが、一般に「貢献≦誘因(組織が与えるもの)」が成り立てば、高い貢献意欲を引き出せることになり、ここにマネジメント要素がでてきます。

3.コミュニケーション
情報を正確に伝達し、メンバー間の意思疎通を図ることが重要となります。円滑なコミュニケーションこそが「共通の目的」の理解を深め、貢献意欲を高めます。メンバーの中には、自分独自の理解=誤解により参加した者もいるわけですから、その修正行動を促すことにもなるわけです。

皆さんの会社や参加されているサークルはいかがでしょうか?組織成立の三つの要件に照らして検証されることをお勧めします。