組織行動論

2009年11月24日 (火)

H.ミンツバーグ経営論に出会う

Img_0239 「離せば分かる」四十代も深まると、活字が疎ましくなってきました。

仕事で必要に迫られないと本を読まない傾向があり、特に長編といいますかガッツり分厚い書物に取り組むのは正直、億劫です。

Febe!のオーディオブックは重宝しています。

最初の動機は、ドラッカーを読み直したいと思ったことです。片道45分、往復1時間半の通勤時間を活かしたいから、できれば朗読版をと思って探していたところ、Febe!に辿り着きました。

早速、まとめ買いパックでドラッカー経営論全35章を購入し、通勤途上や散歩中に聴きました。iPod(私の場合はiPhoneですが)で大丈夫なので重宝します。

ドラッカーは、予言者のように50年前からメガトレンドを示し、その論理性や志の高さから、やはり経営論の王道といえるでしょう。

ただ、中小企業経営、特にその各論において、我々はどうすればいいの?と言わざるを得ない面もあるよううな気がします。遠き「坂の上の雲」とでもいいましょうか。

同じくFebe!で、H.ミンツバーグ経営論に出会いました。

賃金制度の世界でいうと、楠田丘弥富賢之の違いといいますか、H.ミンツバーグには極めて実践的な経営論を感じました。

特にマネジャーについては、ファヨールの古典的な定義(マネージャーは計画し、組織し、指揮し、調整し、統制する)を出発点とする経営論を批判し、現場に実在するマネジャーの行動理解から、実に示唆に富む理論を展開しています。

H.ミンツバーグは、アメリカ型のいわゆるグローバルスタンダード、アングロサクソン経営にも懐疑的で、MBAに至ってはマネジャー教育としては全否定といってもよいでしょう。

異端異能の人物といえるでしょうが、私のようなウルフマンには強く共鳴するマネジメント・グルと言えるでしょう。

ドラッカーとミンツバーグ、現実マネジメントのピンボールの中で、揉まれながら自分なりの思想を練っていきたいと思っています。

2009年4月 2日 (木)

リーダーシップ再考

Img_0343s パソコンを換えたたところ、ブログとの相性が悪く、画像が更新できずにおりました。

十日も経つと一昔前のような昨今ですが、WBCについて少々書きたいと思います。

日本中、大変な盛り上がりでしたが、試合がウィークデイの昼間にあったこともあり、携帯電話のワンセグ機能の有り難さを思い出したのは、私だけではないと思います。

今回のWBCで一番印象に残ったのは、原辰徳監督の采配です。作戦面では、いろいろなご意見、ご批判はあろうかと思いますが、リーダーシップとは何か?という視点で考えてみたいと思います。

思えば、原監督ほど、その実績が過小評価されている野球人もいないかもしれません。甲子園、神宮のヒーローとして若大将と呼ばれ、ジャイアンツに入団してからも4番サードで活躍、実働15年で通算1675安打、382本塁打、1093打点の成績を残しました。監督としても実働5年でリーグ優勝3回、日本一1回の実績を誇ります。

黄金時代のライオンズと落ち目のジャイアンツの対比の中で、負けチームの四番打者のイメージを引きずってしまった感がありますが、チームの旗印として戦いに臨む厳しさを誰よりも知っているのが原監督かもしれません。

長嶋JAPAN、王JAPAN、星野JAPANときて、サムライJAPAN。「大物の時代が終わって小物の時代になったから」などと皮肉に言うひともありますが、空母の時代に大艦巨砲主義に拘った守旧派のようなものでしょう。

野村監督は、今回の代表監督の課題として、「イチローにいかに気分よくプレーさせるか?」を挙げておられました。

それは、いかに侍大将=リーダーの活躍を引き出すか?と言うことかもしれませんが、野村監督も評価されたように、それはうまく行ったようです。

それどころか、もう一歩先のリーダーシップの世界に導いたと思います。

それは、次のイチロー選手の談話に表れていると思います。

 「(必要とするチームとしての共通認識は)向上心です。チームには強いリーダーが必要という安易な発想があるようですが、今回のチームにはまったく必要がなかった。外からはリーダーのように言われたが、全くそんなことはなかった。それぞれが強い向上心を持っていれば、必要ない。むしろ、そんなものはない方がいい思いました。」

原監督と野村監督の年齢差24歳、リーダーシップ像にはかなりの違いがあるように感じます。それは指揮する選手の気質や技術レベルの差でもありますから、現代日本の野球はそれほど高いレベルにあるのでしょう。

今後、組織は、そのレベルの違いこそあれ、自律性多様性(ダイバーシティ)がキーワードになると思います。

ラグビー日本代表の元監督・平尾誠二氏が、理想のチーム状態を「一糸乱れぬアドリブ」と表現されたことがありますが、相通じるものがあると思います。

28年前、私は、開幕第二戦の後楽園、ライトスタンドに居ました。新人の原選手が中日ドラゴンズの小松投手から放った打球は満員のライトスタンドへ。逆転アーチとともに新しいスーパースターの誕生に熱狂したものでした。

やはり原は凄かったsign03

何はともあれおめでとうございます。

2008年10月17日 (金)

時間管理のマトリックス

ビジネスリファインの岩波さんから久々にメールをいただきました。同社では、コヴィー博士の七つの習慣の公開講座を開催されるとのことでした。

七つの習慣は、独立開業に当たって座右の書にしておりましたし、10年目を迎えるにあたり、もう一度噛みしめる必要を感じました。

やはり縁は異なものだと思いました。新人研修の冒頭でも話したのですが、少しまとめておきたいと思います。

縦軸に重要度、横軸に緊急性をとると上図のような4つの領域が表れます。

第一の領域は、重要かつ緊急ですから、ここに集中することが好ましいように思いますが、そうは簡単に行きません。急げない長期的な視野で取り組まざるを得ない課題に対処しないため、緊急課題が尽きることなくストレスが溜まり、燃尽き症候群の恐れすらあります。
独立してピンチに立ったとき、この状態だったような気がします。

第三の領域は、緊急だが重要でない領域です。仕事をしていると思いこんでいる人は専らこの領域ではないでしょうかsign02私自身も心当たりがあるのですが、適度に忙しくて言い訳もあり、ある意味、自分を誤魔化してしまう領域でもあり、要注意です。

第4領域は、緊急でも重要でもない領域ですから、最も忌むべきですが、はまりやすい罠でもあります。時間を浪費し、自分自身を空費してしまうのですが、竜宮城に似て玉手箱が空くまで何も気づかない怖さがあります。

第二領域は、緊急でない=急げないが重要な領域であり、経営者の領域といえると思います。長期的に解決すべき課題に取り組むことで、将来発生する緊急な課題がなくなり、本質的な問題に取り組めるようになります。
P・F・ドラッカーは「大きな成果を出す人は、問題に集中しているのではなく、機会に集中している。」と指摘していますが、正にその領域に達することが可能になるのです。          

新たなメンバーを迎え、創業10年へ向かう今、今一度、第二領域への集中を肝に銘じたいと思います。

2008年10月 5日 (日)

状況変化に対応したリーダーシップ理論

以前触れました三隅二不二のPM理論や R.R.Blake とJ.S.Moutonによって提唱されたマネジリアル・グリッドでは、仕事(業績)と組織(人)の二要素からリーダーシップ論が展開されました。

PM理論では、いわゆる「PM型」で仕事にも組織維持にも関心の強いリーダーが、最も良いとされましたが、これは当然のことといえると思います。

他方、状況が変われば、必要とされるマネジメント・スタイルも変わると考えるのが必然です。この状況の変化によるマネジメント・スタイルを、部下の成熟度の視点から分析したのが、P.HerseyとK.H.Blanchardで、二人の理論は、SL理論(Situational Leadership Theory)と呼ばれます。

この理論では、効果的なマネジメント・スタイルは、部下の成熟度(能力×意欲)によって決まるとしています。

二人は、部下の成熟度を次の四つの段階に分類しました。
状況� 能力も意欲もない低いレベル
状況� 能力は低いが意欲のある普通のレベル
状況� 能力は高いが意欲のない普通のレベル
状況� 能力も意欲も十分ある高いレベル

他方、リーダーシップスタイルは、指示的行動協労的行動に分類しました。
指示的行動とは、目標達成のために部下に細かく指示や命令を出す仕事重視の行動で、PM理論のPに当たる行動です。
協労的行動とは、部下とのコミュニケーションを重視したり、職場の雰囲気を良くするための気配りなど人間関係重視の行動で、PM理論のMに当たる行動です。

指示的行動と協労的行動を組み合わせると、上図のように4つのリーダーシップスタイルが出来上がります。

�指示的リーダーシップ
→細部にわたって指示・命令する完全なリーダー主導型
�説得的リーダーシップ→指示的行動も協労行動も強い不完全なリーダー主導型
�参加型リーダーシップ
→協労行動の割合が高く、指示的行動が少ない不完全な部下主導型)
�委任的リーダーシップ
→指示的行動も協労行動のどちらも弱い完全な部下主導型

そして、状況�には�指示的リーダーシップ、状況�には�説得的リーダーシップ、状況�参加型リーダーシップ、状況�には�委任的リーダーシップが、それぞれに最適と結論付けています。

状況�から状況�に進む際に、意欲が低下するのには、少々違和感があるかも知れませんが、二人は、責任の高まりや経験不足による不安が一時的に部下のモチベーションを削ぐshock指摘しています。このことは、皆さんにも心当たりのあることではないでしょうか。

さて、皆さん(又は皆さんの組織)は、どの状況にあるでしょうか?

2008年9月26日 (金)

三隅二不二のPM理論


三隅二不二(みすみじゅうじ)氏は、日本のグループダイナミクス(集団力学)の第一人者として知られています。

氏によると、集団には、目標達成機能集団維持機能の二つの働きがあるとします。

前者をPerformanceの頭文字をとってP機能、後者をMaintenanceの頭文字をとってM機能と呼びます。

P機能はグループの目標達成のためにリーダーが仕事上の指示や指導をすること、M機能はリーダーが職場内の人間関係をよくするために配慮することを意味しています。

実際のリーダーは、P機能だけでもないし、M機能だけでもない、強弱はあっても両方の機能を果たしている指摘します。強弱の違いで2つの機能を組み合わせますと、上図のような4つのリーダーシップスタイルが区分されます。

大文字はその機能が強いこと、小文字はその機能が弱いことを表します。

1.pM型  
このタイプのリーダーは人間関係重視で、厳しいことを言って雰囲気を悪くするより、和気藹々と仕事をすることを優先しますsmile

2.PM型このタイプのリーダーは目標達成のために厳しく指導するだけでなく、メンバーに対する思いやりを欠かさず最もバランスがとれていますsmile

3.pm型
このタイプのリーダーは目標達成に意欲が無く、人間関係にも注意をはらわない無気力型とも無責任型ともいえますcoldsweats02

4.Pm型このタイプのリーダーは営業数字など目標達成には熱心で厳しい指導もいといません。いわゆる「俺に付いてこい型」で、グループのメンバーに配慮を示しませんshock

同氏は、「生産性や部下の満足度」と「4つのリーダーシップスタイルの効果」との関係を調べる実験を行った後に、生産性・部下の満足度が高いのは、PM型として、最も望ましいリーダー像との結論を導き出しています。

実験する前から当たり前の結論のような気もしますが、実際には、その組織が置かれている環境や構成員、経緯などから様々に変わるとも考えられます。

2008年9月21日 (日)

野中郁次郎の連続的イノベーションを生み出す源

















野中幾次郎氏は、日本の経営学の第一人者であり、知識経営論の生みの親として知られています。その著書「知識創造企業」は英訳され、その理論は広く世界に知られています。

最も知識が重要な経営資源となる知識社会において、企業が存続するためには、知識を創造し、イノベーションを続け、顧客・市場等の外部環境に働きかけることが求められます。では、如何にすれば、連続的な知的イノベーションを生み出せるのでしょうか?

同氏は、当時、飛躍的に生産性を改善させ勃興した日本企業の組織研究を通じ、「暗黙知重視の思想をその特徴として指摘します。

ここで、暗黙知とは「信念や価値観、経験や勘に裏打ちされた知識など言語で表現することが困難な知識」とします。

他方、欧米の企業においては、形式知が重視されており、ここで形式知とは「論理的な文章、技術仕様書やマニュアル等のように言語により表現された知識」とします。

形式知は、知識を共有化し、イノベーションへ繋げる大きな要素であり、必須のものとしながらも、膨大なマニュアルに見られるように行き過ぎた具体化(または抽象化)等の問題もあり、それだけでは知的イノベーションを活性化できないと指摘しました。

そのうえで、暗黙知と形式知を結び付け、共同化→表出化→連結化→内面化→の4つのプロセスを繰り返すことが真の知識創造に繋がり、連続的なイノベーションを生み出すと指摘しています。

バーナードは、その組織の存立要件を「目的」と「効率」が外部環境と均衡することに求めましたが、同氏は「連続的な知的イノベーション」としたのです。

日本的な経営の強みとされてきた「場の共有」に基づく「暗黙知」重視の経営も、個人主義のライフスタイルやマニュアル世代の台頭により今は昔の感があります。もう一度、企業の文化や知的創造プロセスについて、考え直す時期が来ていると感じます。

2008年9月11日 (木)

バーナード「組織を存続させ維持するには?」


前回、バーナード「組織の成立要件」で企業等の組織の成り立ちについて考えました。今回は、その後の問題です。すべての組織はその目的を達するため、一定の期間存続しなければなりませんし、企業=Going Concernは存続こそが命ですから、その成り立ちよりもその後が大切なことは言うまでもありません。

まずは「内部均衡」の達成です。組織の成立要件である�共通の目標�貢献意欲�コミュニケーションが、その成立後も機能し続けていることを意味します。これは組織が「高効率」であり、目標達成のために必要とされる貢献が構成員(企業では社員)とって最小限となっており「貢献≦誘因」が現実化した状況です。

この場合の貢献とは、社員からみれば「労働の提供」となりますし、「誘因」は「共通の目標」を上回る「ご褒美」といえます。

共通の目的にはさまざまなものがありますが、企業は第一に営利が目的であり、社員にとっては「生活の糧の獲得」と置き換えられると思いますが、共通の目的のひとつであることは間違いありません。

ご褒美が金銭だけでないことは言うまでもありませんが、分かりやすく例示として金銭を使いますと、ご褒美である金銭報酬は、共通の目的である「生活の糧」を上回るレベルの報酬でないといけないことになります。目的の達成だけでは存続はないのです。これが「発展のない存続はない」といわれるゆえんでしょうか。

次に「外部均衡」です。企業の本質は、経営資源を活用し�外部環境に働きかけ、�利益・キャッシュフローを最大化し、�顧客を創造することですから、こちらの方が重要と言えるかもしれません。

先ずは、組織の共通目的が、市場だけでなく、広く社会に受け入れられるものか?ということが大前提となります。たとえば麻薬の売買は、営利目的としては効率が良いでしょうが、社会悪、犯罪として決して容認されません。社会全体の福利に貢献しなければならないのです。

目的が容認されたならば、次に、その組織の持つ機能、効率が他の組織に勝るものか?が問われます。組織の存続は「比較優位」の有無に依存しているのです。

バーナードの組織に関する考察は、人事・労務管理を考えるうえで示唆に富んでおり、今後も実際のケースを検討する中で、ブログでも振り返ることも多いと思います。


2008年9月 9日 (火)

バーナード「組織の成立要件」

経営学(経営組織論、経営管理論)の古典であるチェスター・I・バーナード(Chester I. Barnard)の『経営者の役割』(The Functions of the Executive)が発表されたのは1938年といいますから、ちょうど70年前になります。その理論は、今も色褪せることなく、示唆に富んでいます。

その理論の特徴は、人間を「自由な意思を持って自由に行動する存在」と捉えたところでしょう。それまでの経営学では、人を生産に必要な機械や道具と同じように位置づけ、「命令に従って行動する存在」として考えていたことを考えると当時は極めてユニークな説だったと思います。


では、バーナードの組織論によれば、どのようなときに組織が成立といっているのでしょうか?人は其々に自由意思=目的を持って自由に行動するのですが、能力の限界があるため、その目標を一足跳びに到達することはできません。また、目標によっては、とても一人では達成できないものもあり、特に現代社会では、その傾向が強いといえます。

そこで組織の出番となるのですが、ここでも人は「自由な意思を持って自由に行動する存在」ですから、組織への参加も同様に、自由な意思決定とその実行と捉えていきます。




バーナードは、組織の成立要件として、次の三つを挙げています。





1.共通の目的
まず、組織に参加するかしないかの判断基準として、組織が有する「共通の目的」と自分の目的が合致するかどうかがカギとなります。目的が明確でないと参加・不参加の判断ができませんし、参加したとしても自分がどのようなかたちで組織に貢献できるのかも分かりません。組織には「旗印」が重要で、戦国時代では徳川家康の「厭離穢土欣求浄土」とか、現代企業では経営理念などがそれに当たります。

2.貢献意欲(協働意志)組織のメンバーは、参加した組織に対して貢献する意欲を持っていなければなりません。その組織を通じて「共通の目的」や「自分の目的」を達成しようという意欲と言い換えてもいいでしょう。当然、メンバーの意欲のレベルは様々ですが、一般に「貢献≦誘因(組織が与えるもの)」が成り立てば、高い貢献意欲を引き出せることになり、ここにマネジメント要素がでてきます。

3.コミュニケーション
情報を正確に伝達し、メンバー間の意思疎通を図ることが重要となります。円滑なコミュニケーションこそが「共通の目的」の理解を深め、貢献意欲を高めます。メンバーの中には、自分独自の理解=誤解により参加した者もいるわけですから、その修正行動を促すことにもなるわけです。

皆さんの会社や参加されているサークルはいかがでしょうか?組織成立の三つの要件に照らして検証されることをお勧めします。

2008年9月 7日 (日)

ジョハリの窓が開くとき

「ジョハリの窓」とは、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリー・インガム (Harry Ingham) が発表した「対人関係における気づきのグラフモデル」のことで、提案した2人の名前を組み合わせて後にこう呼ぶようになったそうです。

「自己の公開」の度合いとと「他者の認知」のバランスを考えることで、コミュニケーションを円滑にする手法と言えるでしょう。

�公開の窓�秘密の窓は、自分で制御できるわけですが、ある意味「鏡で見た自分=虚像」だけで、他者が見ている「実像」としての自分�盲点の窓を開き、�未知の窓に到達し自己認知を深めるためには、他者とのコミュニケーションの中で、自己の情報を積極的に公開していくことが求められます。

特定社会保険労務士として、企業と従業員の問題解決を行う場面で、同様のプロセスを踏んで行くことがあります。企業サイドの情報に基づいて交渉をスタートする事が多いのですが、企業の主張=�公開の窓の情報は偏りがあり、従業員の主張=�盲点の窓との対峙を経て、�秘密の窓を開き、全体像=�未知の窓を把握する必要があります。

ネゴシエーションが、勝ち負けでなく、当事者が当初想定しない次元で新たな解決策を見出す作業である以上、当然といえます。

人事考課においても、成績判定の視点ではなく、共通の価値観を見出すためのコミュニケーション・ツールとして用いられると意味あるものになると思います。

「ジョハリの窓」が開くとき、中小企業の労務管理は、改善すると思います。

2008年7月17日 (木)

マキャベリに聞いてみよう

マキャベリは、「君主論」の著者として有名です。マキャベリズム権謀術数主義、「目的のためには手段を選ばない」一種禁断の思想として捉えられている面もありますが、小国が分立し政情不安定であったルネサンス期のイタリア半島を背景に鍛えられた現実主義思想は示唆に富んでいます。

中小企業の経営者にとって、特にリーダーシップ・スタイルを考える上では、参考になるといいますか、思わず考え込んでしまうような重い言葉に溢れています。

マキャベリが「君主論」のなかで立てた有名な問いに、「リーダーシップをとる立場にあるものにとって、フォロワーに愛されるのと、怖がられるのと、どちらがいいのだろうか?」というものがあります。

マキャベリの処方箋に耳を傾けてみましょう。

「当然のことながら、ほとんどすべての君主は、両方とも兼ね備えているのが望ましい、と答えるに違いない。しかし、それを現実の世界で行使していくのは実に難しい。できないわけではないが、類まれな力量の持ち主であることが要求される。それで、ほとんどの場合一方を選ぶしかないとなるのだが、わたしは、愛されるよりも怖がられるほうが、君主にとって安全な選択であると言いたい。なぜなら、人間には、恐れている者より愛している者のほうを、容赦なく傷つけるという性向があるからだ。」 

マキャベリは、イタリア半島統一という大義を実現するためにはすべての手段が正当化されると説いたわけですから、まずリーダーたる人は「大義」の存在を問わなければならないことは忘れてはいけないですが・・・。

リーダーシップの暗黒面と言えるかも知れませんが、二律背反の世界で日々悩む経営者には示唆に富む人間洞察といえるのではないでしょうか?

自戒の意味を込めて「恐れている者より愛している者のほうを容赦なく傷つける」人間の弱さ、よくよく噛みしめていきたいと思いますsad

2008年6月24日 (火)

マズローの欲求五段階説


マズローの欲求五段階説は、大学入試センター試験にも出題されたことがあるそうですから、D.Mcgregorの「X理論とY理論」と並んでモチベーションに関する最も有名な学説といえるでしょう。人を動機づける要因は、�生理的欲求⇒�安全の欲求⇒�社会的欲求⇒�承認の欲求⇒�自己実現の欲求の段階を踏んで高まるとする説で、日本の諺の「衣食足りて礼節を知る」にも似て、何となく親しみやすく、皮膚感覚としてはしっくりくるものがあります。

D.Mcgregorの「X理論とY理論」が、1960年代アメリカの管理職の持論を広範なフィールドワークにより収集しまとめ上げられたのに対し、マズローの欲求五段階説は、やや裏付けに乏しいような気もします。

�生理的欲求⇒�安全の欲求⇒�社会的(愛と所属の)欲求くらいまでは、何とかどん
な場面なのかイメージできると思いますし、誰でもそう違わないシーンを思い浮かべることができるでしょう。

�社会的(愛と所属の)欲求⇒�承認(自我・自尊心の)欲求⇒�自己実現の欲求と上位の欲求になるほど、なかなか明確なイメージや共通のシーンが思い浮かばなくなると思います。これは�と�について、訳語が様々にあることもその表れかも知れません。

�→�→�→�→�に駆け上る課程を、プロ・スポーツのスター誕生のような場面のほかに、日常の生活で共通のイメージすることは困難ではないでしょうか?

�→�→�までの課程は、環境や他社との関わりの中の問題で「外発的」、�→�→�の課程は深く個人の価値観に根付く問題で「内発的」といえるとも思いますが、後段の欲求について焦点が絞れないのは「内発的動機」の多様性のゆえなのかも知れません。

企業において問われるレベルは、後段の�→�→�ですから、人事マネジメントがいかに難しい課題なのか分かると思います。「企業にいる人材の多様性を受容し、様々な切り口から社員のモチベーションを引く出すことができるか?」が現代の経営者には求められているように思います。

2008年5月29日 (木)

認知的不協和の理論

以前、system-in-tensionについてふれました。

これはモティべーションについて語る前に、その根っ子で働く心理というか力学を確認する必要があると考えたからです。

そういう意味で、米国の心理学者・Leon Festingerが提唱した「認知的不協和の理論」(theory of cognitive dissonance)についても触れたいと思います。

Leon Festingerは、「困ったときにはレオンに聞け」といわれるほど、博識で発想の豊かな方だったそうです。

この理論は、イソップ物語の すっぱい葡萄としてもしられていますが、やはり愛煙家の例が最も身近でしょう。

愛煙家がテレビの報道番組で、「たばこと肺ガンには因果関係があり体にわるい」という情報に接したとします。「わたしはたばこを吸う」という事実と「たばこは体にわるい」という新しい知識は相矛盾し不協和(不快感)coldsweats02を感じるようになります。

こういった場合に、人は不協和を減らすように動機づけられることになり、次のどちらかの行動をとることになります。
(1)行動を変える(たばこをやめる)
(2)態度や認識を変える(新聞がまちがっている、正当化)

理屈に合う行動はもちろん(1)が正しいと言えるでしょうが、禁煙による不愉快やその難しさを考えると(2)を選択することもある意味合理的と言えます。

「認知的不協和の理論」が当てはまるケースは、結構、多いのではないでしょうか。

人はなぜ働くのか?あなたはいかがですか?

2008年5月28日 (水)

組織行動論Organizational Behaviorとは?


本当は、シリーズの最初に書くべきだったのですが、組織行動論Organizational Behaviorの定義についてです。

Organizational Behaviorは、直訳すると「組織化された行動」とでもいうのでしょうか。
少々違和感がありますから、Individual Behavior in Organization「組織の中の人間行動」と読み替えた方がしっくりくるかも知れません。

組織行動論(以下、OBといいます)は、欧米のどこのビジネス・スクールでも必須なのだそうです。これは、経営分析力等、論理的客観的なスキルを極めても、結局、ひとに動いてもらえないと、マネジメントしていることにならないし、リーダーシップもなく、交渉力、実行力もないことになるため、ひとに対する理解が重視されるのだと思います。

ミクロ組織論とマクロ組織論という分類がありますが、OBはミクロ組織論の分野になります。モティベーション、職務満足、職務設計、リーダーシップ、コミュニケーション、感情の問題、コンフリクト等を扱います。

OBは次のような方に大変参考になると思います。
・自分のリーダーシップや対人影響力を磨きたいひと
・組織のなかで他の人びとの行動についてもっとよく知りたいひと
・人事、組織変革、企画等のひとで、専門的にひとの問題を知る必要があるひと(スタッフ)
自分のことをよく知りたいひと※これが一番かも知れません。

管理職になるころには、共通の問題を解決するためにOBの理解は重要になると思います。
マネジメント論の多くは組織や経営トップの視点から語られますが、働く個人の側から見た経営管理論がOBとも言えます。

マネジャーとして働く方には、それぞれ持論がお有りのことと思いますが、学者の理論や他人の持論を知ること、そしてそれをシェアすることでより良いマネジメントが可能になると思います。そんな気持ちで書いていきたいと思います。

人はなぜ働くのか?あなたはいかがですか?

緊張しているシステムsystem-in-tension

2008年5月23日 (金)

緊張しているシステム(system-in-tension)


スカパー!のインタビュー番組に、建築家の安藤忠雄さんが出演されており、とても印象深いお話しがありました。概ね次のような内容だったと思います。

「良い建築に出会うことも、もちろんですが、ある意味、駄作も重要なんです。こんな空間の使い方をして欲しくないという思いが、良いものを作りたい、このままでは満足できないという強いモチベーションに繋がるんですね。特に40歳を過ぎてからはモチベーションの維持が難しくなります。だから緊張感がますます重要になるんですね。」

「場の理論」やグループダイナミクスで著名な心理学者K.Lewinは、すべての感情は、空間の均衡が損なわれることによって起こり、人は、その不均衡を解消しようとして行動を起こすとし、、「緊張しているシステム(system-in-tension)には、動きが生まれる。」 と指摘しています。ここでいうシステムというのは、社会や組織だけでなく、個人の動機付け等様々なレベルのものを指すのだと思います。

このことを併せて考えますと、個人や組織の動機付けにいて、示唆に富んでいると思います。人は、ギャップ(不均衡)に触発され行動に移し、緊張を維持したものだけが反応を維持できるのです。

満足した経営者は、事業を拡大する事はおろか維持することすらできないでしょう。従業員満足なる言葉が再び闊歩していますが、果たして満足した従業員にモチベーションは生まれるのでしょうか?

人はなぜ働くのか?あなたはいかがですか?

2008年5月21日 (水)

人はなぜ働くのか?あなたはいかがですか?


管理職になる頃には、「人間観」とでも言いますか、「人はなぜ働くのか?」に対する自分なりの答えを持つようになるのではないでしょうか?

学者の「理論」に対して、実務家の「持論」は、マネジメントや業務の実践を通じて培った自分なりの「仮説」といえると思います。実務に耐えうることを実証された「仮説」とも言えるでしょう。

人間観、モティベーションについての理論といいますと、D.Mcgregorの「X理論・Y理論」が有名です。いわゆる学者の「理論」として認識されていると思いますが、実際には、1950年代アメリカの経営管理者に対する多面的アンケートにより、当時の経営管理者の「持論」を引き出しまとめたものです。

同じ時代、同じ国、同じ管理職でも、異なるタイプの仮説があったことは、非常に興味深いと思います。どちらが優れているとか、上位だとか、善悪の問題ではなく、考えてみてください。

【X理論】
・ふつうの人間は生来仕事が嫌いで、できることなら仕事などしたくないと思っている
・大抵の人間は、強制されたり、統制されたり、命令されたり、脅かされたりしなければ、きちんと働かない
・普通の人間は、命令されるほうが好きで、責任を回避したがり、あまり野心を持たず、なによりもまず安全を望んでいる。

【Y理論】
・仕事で心身を使うのはごくあたりまえのことであり、遊びや休暇の場合と変わらない。
・ひとは自分から進んで身をゆだねた目標のためには、自らにムチを打ってでも働く。
・献身的に目標達成に尽くすかどうかは、それを達成して得られる報酬しだいだが、なかでも自我の欲求や自己実現の欲求が重要である。
・ふつうの人間は、条件次第では責任を引き受けるばかりか、自ら進んで責任をとろうとする。
・企業内の問題を解決しようと比較的高度の想像力を駆使し、創意工夫をこらす能力は、たいていの人間に備わっているものである。
・現代の企業において、日常、従業員の知的能力の一部しか生かされていない。

あなたにとって「X理論」と「Y理論」はどう写りましたか?どちらがあなたの持論に近いでしょうか?

人はなぜ働くのか?あなたは持論をお持ちですか?

D.Mcgregorの「X理論・Y理論」についてはこちらから。少々決めつけが激しいのでご参考までですが・・・。
http://ja.wikipedia.org/wiki/XY%E7%90%86%E8%AB%96

うなぎ稚魚を活かす鯰の組織論

2008年3月21日 (金)

うなぎ稚魚を活かす鯰の組織論

中国の養殖ものは水銀が危ないとかで、うなぎもチャイナ・フリーのご時世ですが、国内の養殖ものでも、その稚魚のほとんどは海外からの輸入に頼っているのが現状のようです。

うなぎの稚魚は、関空や成田に空輸airplaneされるのだそうですが、輸送中に90%が死んでしまうそうです。歩留まりが一割というのは、余りにも効率が悪いshockので、色々と試行錯誤した挙げ句sign01、うなぎの稚魚の天敵・鯰を空輸中の水槽に入れてみることにしたそうです。

その結果、驚くべきことに鰻の稚魚の歩留まりは八割に向上したそうです。確かに天敵の鯰に二割は食べられてしまうそうですが、天敵に相対することでうなぎの稚魚が活性化しwink、空輸により死ぬものが激減したそうです。

組織においてもこういうことありますよね。安全、安心が行き過ぎると組織もその構成員である個人sadも、ぬるま湯で共倒れのケースです。

鯰のような絶対者が跋扈してるだけなら、緊張感が漲り、それに対抗する元気者も現れ活性化する機会がありますが、鯰が取り巻きを作り始めると一気に沈滞に向かいます。

あなたの組織には、どんな鯰がいますかsign02

企業におけるピグマリオン効果

2007年10月 4日 (木)

企業におけるピグマリオン効果

 ピグマリオン効果は、教育心理学における心理的行動のひとつで、教師の期待によって生徒の成績が向上する事をいいます。なお、教師が期待しない事によって学習者の成績が下がる事はゴーレム効果と呼ばれます。

 1964年にアメリカ合衆国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって実験されました。詳しくは下のリンクからご覧ください。
 
 実験方法には批判もあるようですが、ビジネスの場面でもこの説に賛同される方は多いと思います。教師と生徒の関係を上司と部下に置き換えてみれば、皆さんにもこれに似た事象を体験されたことがあるのではないでしょうか。
 
 優秀な部下を任されたという自負が上司のモチベーションやコミットメントを引き出すことになり、結果として部下とも良好な関係が築けることになります。
 
 例えば、部下が自分の指導を理解できない場合の対処を考えてみましょう。

 優秀な部下を預かった上司smileは、理解できない理由を自分の指導に求め、理解できるまで改善するでしょう。逆にそうでない部下を預かった上司sadは、「やっぱり駄目なやつ」と部下の能力のせいにしてしまって、指導もお座成りになります。

 この積み重ねが、結果として優秀な部下とそうでない部下を作りだしてしまいます。ここで優秀というのも「そう言われている」程度の話で、事実はわかりません。ある意味、良い思い込みか、悪い思い込みの違いだけなのです。

 中小企業においては、人材不足の話をよく聞きます。ある種の諦観からか、折角、採用できた人材なのに悪いレッテルを張りがちですcoldsweats02

 マネジャーの皆さん、ピグマリオン効果を意識して、少し自分に暗示を掛けてみてはいかがでしょうか?ゴーレムの跋扈は御免ですからwink


ピグマリオン効果の詳細はこちら

http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/pygmalion.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C

ヤマアラシ・ジレンマ

2007年9月15日 (土)

ヤマアラシ・ジレンマ

心理学では、‘ヤマアラシ・ジレンマ’という話があるようです。つぎのようなお話です。

「寒い冬の中、二匹のヤマアラシがいた。二匹は寒いので、お互いに暖め合おうと近づいた。

そうすると、相手の針が体に刺さってしまった。痛いので今度は離れるとやはりまた寒くなった。

二匹はまた近づき、痛いのでまた離れることを繰り返していくうちに、ついに、それほど寒くもなく、痛くもない距離が分かり、あとはその距離を保ち続けた。」

実社会でも、同じようなことがあるのではないでしょうか?

例えば、プロジェクト・チームの立ち上げのときです.

リーダーとメンバーの課題達成への温度差が‘針’になって、コミュニケーションを妨げる要因になります。乗り越えなければならない壁ですが、特にリーダーにとっては、ストレスcoldsweats02を強く感じるはずです。

中小企業は、限られた経営資源・人材で戦わなければならないのですから、チームワークは特に重要です。経営者・社員・顧客の動的均衡を取りながら‘ヤマアラシ’よろしく頑張らないといけません。

皆さんの会社ではいかがでしょうか?このジレンマを乗り越える工夫をなさっているでしょうか?